おしろ宮殿

一寸一杯お気軽に

2019年版 東宝『エリザベート』を観てきたので感想

やっぱりエリザベートは最高!!!
最後のダンスは俺のもの〜♪と歌うトート閣下に \お前が一番お前が一番/ とコールしたいくらい、本当に最高です。

私が観たキャストは以下の写真の通り。

f:id:notenbtller:20190715113345j:plain

観劇ブログではないので、エリザベートってなんぞやをざっと説明しますが、オーストリア皇后エリザベートの生涯を描いたウィーン発のミュージカルで、日本でも現在まで様々なキャストを迎えて宝塚や帝国劇場で定期的に上演されてるんですけどね。
実在の人物を描いた大河ドラマ的なストーリーでもありつつ、そこにエリザベートに付きまとう甘やかな"死"という"概念"が擬人化して登場するという仕掛けでが面白いのです。
が!
日本版は、最初に輸入したのが宝塚だった為に、概念としての"死"を\黄泉の帝王/というスーパー少女漫画なキャラクターに変更してしまい、エリザベートと帝王のラブストーリーを物語の主軸に置くという魔改造をしちゃったんですよね。

私はウィーン版のDVDから入っているので、日本版にはそもそもかなり違和感があったのですが、遂に『黄泉の帝王と皇后の禁断の恋』みたいな少女漫画のひとつの完成形を観た気がしました!!!初めて、これはこれで完璧、満足!という気持ちになりました!!純愛の説得力が凄い!!
(ちなみに宝塚版はDVDで断片的に観た事しかありません)

それもこれも、多分古川トートとちゃぴさんシシィがマジでお似合いの若人カップルだったからだと思います。武内直子の作画だった。
目には目を、王子には王子を。つまるところ、トートには古川を。
クイズ、正解は古川雄大

まあ王子じゃなくて帝王なんですけど、設定。古川くんのトートは昨日先代の帝王である父上(多分山口さん)から王座を譲られたばかりのフレッシュ感が凄かったです。危うく皇太子2人でマイヤーリンクになるところだったよ。

そしてちゃぴさんこと愛希さんのシシィも素晴らしかった…これまで、具体的なお名前は出しませんが複数の宝塚OGが演じるエリザに苦汁をなめさせられてきた経緯があるので心配していたのですが…完璧!!花總さんエリザも大好きだったのですが、フレッシュさも安定感もあり、今後のエリザベートを背負って立つ感がちゃぴさんは凄かった。
しかも少女時代のロリみから、晩年の老け演技までの演じ分けグラデーションが完璧で、役者って凄いなぁと感嘆しました!

以下、シーン別とかの感想!

■トートがキモくない

これまで、トートがシシィに \ただの少女のはずなのに〜俺の全てが崩れる〜♪/ と歌う一目惚れソング「愛と死の輪舞」(※宝塚版の為に書き下ろされて後に本家に逆輸入された)ロリコンおじさんみが強く、あの完璧な城田verですらいささかのキモさがあったのですが、遂に…遂に古川版で払拭されました!!!
マジで王子の小さな恋のはじまり!!!!これは画期的!!!

トートはその後もストーカー行為を繰り返すキモいキャラなのですが(主観)、古川トートは世間知らずで浮世離れした王子様にしか見えないので、シシィに振り向いて貰う為良かれと思ってやること全てが裏目に出てる様にしか見えず、へ、へたくそーーーwww口説くの下手くそかーー!!って応援上演したくなりました。澄ました顔して振られ続ける王子に手に汗握った!ヒュー!

あと、58頭身くらいあります。

■みんな歌が上手い

古川くん…ゆん…Y君…、私は黄泉の国(高田馬場AREA)に通い始める前は今で言う2.5次元界隈の舞台沼で立ち泳ぎしてたので、古川くんや今回革命家役で出演してた植原くんをテニミュで相当な公演数観てるんですよね。古川くんと言えばダンス!そして尋常じゃなく顔が良くて58頭身!歌はピッチは良いけど声量はゼロ!というイメージでした。
その後、2012年にルドルフ役で初めてエリザに出演した時も2015?16年の再出演時も「上手いけど声量…」という感想だったので、今回どうなっちゃうんだ〜〜と実はちょっとハラハラしておりました…。
いや見くびっていて申し訳なかったです!!歌も素晴らしかった!!!声量も問題なし。何と言う成長、なんという素晴らしきミュージカルスター…!うっうっ!

そして涼風さん、田代さん、未来さんと、みんな超歌が上手く、そりゃあんた帝劇ミュージカルなんだから当然でしょって思うなかれ地雷キャストは山の様にいるぞってな中、ノーストレス!最初から最後までずっとハイクオリティで13000円のチケ代に相応しいプロの公演が見られて大満足でした!!!

涼風さん歌上手いし信じられない美貌だし好きだよ〜〜〜〜おろろ〜〜〜〜

あと冒頭の霊廟ダンスで、一人だけキレッキレのダンスしてるゾンビいるなと思ったら植原たっくんだった、流石!!

■闇広目(ヤミヒロモク)ですみません

ヤリモクならぬヤミヒロモクな所は若干、ちょっとだよ、あるじゃないですか、我々。我々ですよ。
何と言っても今回のルドルフは三浦りょんさん!りょんさんもまた、十数年、虚無舞台バンビーノあたりから時折静かに見守らせて頂いて居るキャストで、まさか帝劇でお会いするとは思っておらず胸の一部がHOT HOTでした。
そして古川トートとりょんルドルフの「闇が広がる」からのマイヤーリンクde死の接吻が観られるのかと思うと、あらいいですねの波が止められなかったのも事実です(ヘイポー)申し訳ございません。

いやーりょんさんルドルフも、古川トートさえいなければ常軌を逸したスーパーモデルスタイルなんだけど、生まれて初めてりょんさん顔でけぇなとすら思ってしまった。全ては古川トートがキャプ翼頭身だからだよ!頭身のインフレがベネズエラレベル。

そしてりょんさんは歌も上手いけどダンスもキレキレなので、マイヤーリンクがチーム皇太子vsチーム黄泉の帝王のストリートダンス対決みたいになってて笑いました。トート本人もダンサーの血が騒いでて笑う。

いやあ素晴らしい闇広でした。想像していたキラッキラのイケメンタイムと言うより、結構バチバチな…ヒプマイみたいな空気感だったけど。すごく良かったです!!

りょんさんのヴィジュアル系感凄かったな。実際にはあんなド美形デルモ頭身はA9にすらいないんですけどね。

■(恋に)スベり続けるトート、めんどくさくて可愛い

ルドルフに死の接吻をして黄泉の国へ1名様お通しするトートは、演者によっては美少年をツマミ食い感が凄いじゃないですか。でも今回の"無菌室育ちで空気読めないけど初めての恋愛にまっしぐらトート"は、"息子やっとけばシシィも俺に振り向くやろ!"って本気で思ってそうで可愛かったです。
で、思惑通りシシィが振り向きかけたら、なんか納得がいかなかったのか「まだ俺を愛していない!」とか駄駄を捏ね始めるのが最高にめんどくさくて可愛すぎました。ありがとうありがとう。

結局最後まで振り向いて貰えてないのに、めちゃくちゃドヤ顔でエンディング迎えるのとかも、まあもうトートが満足ならそれでいいわ…!みたいな気持ちで拍手。

本来は蠱惑的な間男としてシシィを誘惑しなきゃいけないのに、あんまり出来てなくてスベり美しくて可愛いかったですとにかく。

■夜のボート

話は逸れるのですが、かれこれ10年以上前にひっそりと発売されたはずの斎藤工主演の低予算映画「BOYS LOVE」が何故かこの令和の時代に身内で大流行してしまっている為、「夜のボートのシーンは、けんちゃんの海(※三浦海岸)を思い出すぞ」と事前告知をされ、私が毎回必ず涙する場面が台無しになるところでした。
確かに、めちゃくちゃ、けんちゃんの海だった。これはもうBOYS LOVEを観た人だけに伝わればいい。
ただそれでも泣いてしまった。それくらいに「夜のボート」は胸を打つ…!!けんちゃん…!!! 

Boys Love ボーイズ ラブ [DVD]

Boys Love ボーイズ ラブ [DVD]

 

■耽美とカタルシスこそ最強

何回も観ている舞台だからついこれまでと比較して茶化したりしちゃうけど、私はあの皆死んで終わる耽美なエンディングが大好きなんですよ。リプライズのキッチュあたりから狂言回しだったルキーニの様子が徐々におかしくなるというか…ただの病質殺人犯に戻っていくのとか、最後に首吊って終わるところとかも。
大 団 円!!みたいな感じで、カタルシスが凄い!!何度観ても鳥肌ものです。

本当に素晴らしいミュージカルなので、隣のおじさん向かいのおばさんなども誘い合わせて観に行きたいのですが如何せんチケットがなかなか取れず、そもそもチケ代も気軽には程遠いし、なかなかのハードルですよね!
でもやっぱり、生涯エリザ普及はし続けたいです。これからも通うぞ!

ミュージカル 2019年5月・6月号

ミュージカル 2019年5月・6月号