おしろ宮殿

一寸一杯お気軽に

私とビジュアル系が和解する時(一方的に)

この根深い問題についてまとめたい、まとめなくてはと何年も何年も思いながら、UPした瞬間炎に包まれる自分の姿が浮かび、誰かがそれを撮影して政治的シンボルにしたらどうしようとか、どうせならピューリッツァー賞に、とか思ったけれど私は燃えたくないのだった。まったくもって乾いていたいのだが、松明を持ったバンギャに取り囲まれている様な気がして、恐れおののいておりました。

私は自分をバンギャだと思った事は一度もなく、むしろバンギャを忌み嫌い畏れ、少し前まではビジュアル系を名乗る者全てを軽蔑しておりました。
しかし実績だけ見るとどうだ、現状。私が特にフェイバリットとしている物の大半が(自ら名乗るにせよ、外から括られているにせよ)ビジュアル系ばかりではないか。もうだめだ。生きられない。どの丘に行けばいい、丘どこか頼む。


物事を整理します。


■何故ビジュアル系が嫌いになったのか

これには大きく世代や出身地が関わる事を認めざるを得ない。本当は何にも左右されず私の感性100%でジャッジしたのだと言い切れれば(E)のだけど、そんな訳はない。
私は1982年度生まれの東京23区育ちなので、1994〜95年@12歳頃思春期を迎え、その頃からCDを買いあさりライブに行く様になった。フットワークは軽かったし、登下校途中に色んなライブ会場やマニアックなCDショップに行くことができた。

そんな私は中高時代にリアルタイムで見てしまっているのだった、まだ「ビジュアル系」と呼ばれる前の世代が世間を席巻し、やがて「ビジュアル系」と呼ばれる様になるも「俺達を括るんじゃねえ」とバンドマンもファンも反発し、やがて大ブームが去った後、過去の黄金時代のバンドの絞りカスみたいな、「ビジュアル系」の中だけで近親交配を繰り返した「俺達ビジュアル系」が生まれる様を…†マジほんと生きていた中絶児リアルガチで…†みたいなのを。
一連の栄枯盛衰を見てしまったのだ。

だから私は「世代だから」という理由で、90年代半ばのビジュアル系は沢山通っていると思う。LUNA SEAラルクGLAY(ごめんなさい当時からアンチでした)penicillin(200%の顔ファンもう少し経ってラクリマ、マリス…うんたらかんたら。

GLAYのアンチだったのは何だこいつら歌詞クソダセエ嘘だろと中高生当時思っていたからという全くカラッとした理由でして、後に私が大々的にダメージを受けビジュアル系生涯皆殺しを誓う原因となるPIERROTやDIRの様に、心が漆黒に包まれる感じで嫌いな訳ではないです!

それと同時に、私は割とはやい段階で洋楽に手を広げ、元ネタを一気に知ってしまったものだから、急速に興味を失っていったという面もある。洋楽聞いてる俺カッコイイ的な中2病も大いにあったし…。
「面」よりも「麺」が先に変換候補に出て来てしまう辺りにも、私がこの懺悔をまとめる必要にかられている理由が見てとれる)

99年頃になると、ふと気付いたらビジュアル系界がマリリンマンソンのコピーバンドだらけになっていて驚愕したのを覚えている。私はその少し前にマリマンの追っかけだった。タッチの差だった。いや俺の方が先だったから!!わしがそだてた!
ビジュアル系と同じものを嗜好してしまう自分を恥じた。でもマンソンは優しかった。一緒に撮った沢山の写真やサインが今でも実家の段ボールに眠っている。

バンドマンがコントロールできない業界の流れもあるはずなので仕方ないのだが、この頃のビジュアル系はPVが全部beautiful peopleとかTourniquetとか、ANTICHRIST〜の頃のマリマンだった。フローリア・シジスモンディ擬きと言うか。
コマを落としてカクカクして、廃墟で粉ふいてて、病院で、全眼コンタクトの異形の何か出て来て、フォーカスを素早く合わせてぼかして、虫がうねうね… や、やめろーーーッ!!この頃だけならまだしも、今でもビジュアル系はそんなPV見かけるから辛い!!
当時、他の洋楽のPVも似た手法の物が流行っていたので、何もマリマンだけのパクリでもないのだろうが。でも絶対マリマンだろ。
skunk anansieのcharlie big potatoのPVとか、気持ち悪かったけどかっこよくて好きだったな。


これ。

ビジュアル系を嫌いになった理由に戻るが、更に更にそもそもとして、私は耽美やゴスが好なのだ。
じゃあビジュアル系でいいじゃない、ってその逆であった。きちんと教養のある文明を知る様になると、ビジュアル系ほどの耽美のツラ汚しDQNはないと思えてきた。やめろ!!俺の大好きなフィールドを!!荒らすんじゃねえ!!勝手に空に還るな!!という、割に自分勝手な理由だがティーンの頃は特に心のキャパが狭いなんてもんじゃなかったので、抽選によりお席はご用意できませんでした。

図にするとこうである。

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つまり、私にとってビジュアル系は仲間から出た耽美のツラ汚しという感じで、近親憎悪も加わり、どうしても許せない存在となっていったのであった。

勿論、例えば私より前の世代はLUNA SEAを見た時に「DEAD ENDのパクりじゃんしね!」と思った人が多いのは知っている。要は世代とタイミングが大きいというのは理解しているつもりです。

散々ご託を並べておいて何だが、上記の様に分析出来る様になったのはいい大人になってからであって、実は私のビジュアル系嫌いを決定的にした事件が超具体的に2つある。何だったらもう、ここまで読み飛ばして貰って構わなかった。ごめん。

その事件とは即ち、富士急ピエロ事件と、MステDIR事件だ。
事件名だけでバンギャ諸大名にはピンときたはずだ。最も、多くの大名にとってこの事件は「武勇伝」や「伝説」として記憶されているだろう。私は逆だ。身内の恥、電車の中で18禁同人誌を広げて「ゾロはやっぱり受だよねーッ!」と叫ぶ腐女子、いじめられっ子が教室の隅で邪気眼を封じる為に震える様…とにかくもう、全身全霊見聞きするのに絶えない事件であった。

しかも前者は現場にいた。BUCK-TICKとマリリンマンソンが出ていたから。あのフェスの最前に16歳の私はいた。
ピエロ、出て来た、こう、言った「ぅおれたちがぁ〜!みぃなさんのきらいな、び、ビッジュアル系どぇ〜〜すぅ!!」

ひぃ…

それはいい、まだいい、だって自己紹介だもの。どこもビジュアル良くないのに何言ってんだとは思うが、自称するのは自由だし。しかし次に飛び出した言葉には耳を疑った。「どうせ洋楽ファンの皆さんの何割かは、楽屋で外タレとヤるのが目的のグルーピーなんだろぉい?」うる覚え

おい、V系麺とバンギャがそれを言うのか?!マジで!?!?

全力で戻ってきたブーメランはしこたまキリトの額を打った様に見えたが、びくともしていなかった。っょぃ。行動を共にしていたグルーピー女子はビキビキと青筋を立てていた。正解だった。友達は外タレの下半身を狙っていた。

その後、なんかヘンテコな曲を演奏して一部のファンが手首を打ち鳴らし帰っていった。このフェスには言うならばお前らの「ビジュアル系」の先輩に(不本意ながら)当たるBUCK-TICKも出ていたのに、何言ってんだこいつと思った。突然出て来た顔面非ビジュアル系どやどやされ逃げられ、私は暗澹たる気持ちになった。

この事件に前後して、MステでもDIR EN GRAYがどや逃げをしていた。確かにお茶の間は氷りついていたかもしれないが、それは「かっこいい…!」とか「悪い!痺れる!」とか言った類のものではなく、あいたたぁレベルの出しものと、その「やったった」感溢れる態度のギャップにだと思うのだが…。少なくとも私はそう感じ、うすら寒さに「もうやだビジュアル系…二度と関わりたくないょ。。。」と拘束衣にかためられた手脚をばたつかせた。

これをもって、00年代以降私はV系を一切視界に入れない様努めた。大した努力をしなくてもジャンル自体が勢いをなくし、そうそう入ってくることはなかった。
99年頃からトム・ヨークを崇拝する様になり、The VerveやThe Musicなどを聴き、UK色に染まっていった・・・††† かっこいい・・・†††
時折BUCK-TICKが載っている雑誌で、真っ黒な口紅を大きくはみ出させた髭に眼鏡の男が寄り目している姿などを目にし、お〜ヤダヤダ…なんて思っていた日々が懐かしいですね。

そして時は流れ12年後…私にまさかの転機が訪れるのだが、その話はこっちで。(上で話している事とかぶる部分もある)

以上、まさに呪いの如く長い「嫌いになった理由」でした。



■時が経って昔と違うものに化けているバンド、いつまでも毛嫌いしていていいのか問題

よくないでしょうよ!バンド、長くやってると初期とは似ても似つかないモンスターバンドに化けたりするもの。知ってる。でも一度「あ〜嫌い!」と思うとなかなか自分からひょっとしたら好きになるかもだから新譜きいてみようかな?なんて思う機会もない。少なくとも私は。

しかし現状私はバンギャ(実績による)な上に、最近ではナイトメアばかり聴いている(何故そんな緊急事態に陥ったのかは後述する)のに、ナイトメアはよくてDIR EN GRAYはビジュアル系だからダメだなんて、意味不明な供述すぎて尿検査をされてしまうレベルである。

だから私は期待している。1/5にcali≠gariとsukekiyoが対バンするのだ。はじめまして、京さん…何か、修道女のコスプレしてて、もしかしてこの人私が知らない間にtoolのメイナードみたいになっているのでは?という期待に、今まで強がっててごめん…君の事好きになれたら多摩川にスケキヨスタイルで入水してお詫びするね…って気持ちになっています。
石井さんがリミックスで参加した1stアルバムはちゃんと聴いたものの、あ、う〜〜んって感じだったけど…生で見るとほら全然違うことも多いから!!



■ビジュアル系にもアイドルいっぱいいる問題

アイドルが好きだ。女の子も、男の子も。5年間程テニミュ地獄でラケットを振っていたし、一時期はAKBにもももクロにもハマッていたし、ハロプロやジャニーズこそ通っていないものの、最近ではミーハーにもBIGBANGにも片脚つっこんだり、好きなんだよキラキラした可愛い子がキャピキャピいちゃいちゃしているのが。、糧という漢字が浮かぶ。

そこでおそろしいのが、最近ビジュアル系嫌いが治りかけ守備範囲が広がった私の目に飛び込んできたV系アイドル達だ。おっかねえ。

ここでナイトメアの名前を挙げると生粋のバンギャにボックスの角でブン殴られそうだけど…えっ?もう誰もボックスなんか持っていない?ゴルチエの鞄も?え…そうなんだ…

でもやってること、アイドルじゃん!!もうめちゃくちゃ、アイドル、これ100%の褒め言葉、私の部族、アイドルいうの、ホメコトバ。

以前記事にもしたけれど、コミックバンド好きが高じて仙台貨物にハマッたのだった。ここまでは良かった、想定の範囲内だった。仙貨は好きだけどメアはなあ…だってV系なんだモン…そんな風に考えていた時期はものの数ヶ月で過ぎ去り、中の人達めちゃかわギャンかわと萌えが火を噴いている昨今である。

まあアイドルって言うか私と同世代の紛うことなきオジサン達なんだけど、嵐世代ってことで…。

無料期間を過ぎた今もApple Music退会が出来ないでいる私は、06年以降のメアのアルバムを網羅した。毎日毎日聴いては、ちょっと笑ってしまいつつ、気に入った曲にハートマークをつけ、プレイリストも作った。ファンである。

音楽は崇高なものでなくてはならないし、独創性か高いクオリティがなくてはいけない。あとビジュアル系が嫌い。
そういった固定概念を投げ捨て、だって可愛いんだもんっ!の精神で毎日メアを聴いている。
わあ…ルナシー…wwwとか、何とも言えない絵に描いた様なちょっとショボいV系を体現した感触に最初こそ笑っていたが、最近では割と、RUKAさんの詩は抜群に音に対して乗りがいいなとか、咲人さんの作るリフはいいものだとか、それでも私はひっつーの作る曲がすきィ!とかぴょんぴょんしながら聴いている。



私は自分をバンギャだと思った事は一度もない。

 



===完全なる余談===

これこそ完全に趣味の話でビジュアル系は何も悪くないのだが、私は昨今日本でラウドと括られているジャンルが苦手なのだった。これも近年のビジュアル系にピンとこない理由としては大きい。嫌いになったきっかけとはあまり関係ないけど。
ギターが、デデデッ デッデッ(低音)ティルリラリラリ(高音)みたいなの。わかります?あと意味もなくヴォイヴォイ言うやつ。唐突なデスボイスとか。メタル本道のバンドまで否定する気はないけど、自分たちで「ラウド」を自称して、ファンのことKIDSって言うV系バンドとかウルトラ苦手です。

一切『昨今ラウドと括られているもの』がダメなのかと言うと、KORNが台頭していた90年代後半までのニューメタルとかは大好きだったよ。でもKORNの好きな所は音数が少なくてドンシャリしててadidas着ててお洒落な所だったけど。メタル界隈の時が止まっていてすみません。